< 掲載内容 >
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発行/日経BP社 著者/畠山けんじ・久保雅一
2000年に出版された本。以前にサイト閲覧者様から情報をもらっていたのですが、このたび中古本を入手する機会に恵まれたので読んでみました。共著の久保氏はコロコロでレツゴーのプロデュースを行った人。第2次ミニ四駆ブームの仕掛け人でもあります。
ポケモンをビジネス面から書いた本です。いかにしてポケモンが誕生したか、いかにしてブームが仕掛けられたかが詳しく書いてあります。ビジネス書としても通用する内容ですが、事の起こりを最初から順を追って分かりやすく書いてあるので、ビジネス方面に詳しくない人でも楽しめると思います。ここでのポイントは、ポケモンビジネスにもレツゴーが深く関与していたため、レツゴーの制作話も随所に挿入されていること。おかげでポケモン本でありながら、レツゴー制作の裏話が読める本にもなっています。
新しいビジネスモデルになったレツゴー
ポケモンを語るにはまずレツゴーを語らなきゃいけないということで、なんとダッシュ四駆朗にまで遡って触れられてます。ミニ四駆ブームについては「田宮模型の仕事」にも書かれてますが、それをコロコロの視点から見るとこうなるのか、というのが面白い。この辺、ぱふ1997年6月号とも合わせて読むとさらに面白いかも。2度目のミニ四駆ブームが立ち上がった時、久保氏はアニメ化に際し、四駆朗の反省を生かして新しいビジネスモデルを作り上げます。レツゴーでの成功がポケモンにも生かされることになったんですね。
アニメの事情
ポケモンのアニメ化に際してレツゴーの方式が取り入れられたということで、レツゴーのアニメ制作についても詳しく書かれてます。それに関連してテレビ業界の話も載っており、なるほどと思わされること多々。アニメファン目線では見えなかった・分からなかったこともいっぱい。それまで広告代理店主導だったアニメ制作を漫画雑誌(コロコロ)主導に変えたのは画期的なことだったらしいです。レツゴーはすごい人がバックについていたのですね。
コロコロのメディアミックス作戦
レツゴーがメディアミックス作品だということは分かっていたつもりですが、その実態は私の想像を超えてました…。ミニ四駆・漫画・アニメ・ゲームが一体となって事業展開し、それら全てを束ねてコントロールしていたのがコロコロ。タミヤとの連携は分かっていたけど、ゲームもだったんですか! ポケモンのアニメ化に乗り気でなかった任天堂を説得するのに、レツゴーがゲームとの連携で成功した例が使われたそうです(このエピソードは烈ファンならニヤリとするもの)。
全体的にはもちろんポケモン中心でレツゴーへの言及は一部なわけですが、それでも思ってた以上にたくさんレツゴの情報が載っていてレツゴファンにもおすすめの本です。レツゴファンから見たら「そこんところ、もっと詳しく!」な部分もありますが、ポケモン本なのでそこはしかたがないですね。
なお、Amazonで調べたところカバー本(左端)の他にも文庫本(右の黄色い2冊)があるようです。私が入手したのはカバー本でしたが、すごく分厚くて重たい…(500頁以上あります)。上下2冊に別れますが、軽い文庫本もいいかもです。