田宮模型の仕事 (文春文庫)

< 掲載内容 >

  • 第一章 木製模型との幸せな出会い
  • 第二章 泣く泣くプラモデル制作に転向
  • 第三章 プラモデルは金型が命
  • 第四章 取材こそ模型づくりの基本
  • 第五章 とことんやるのがホビーの世界
  • 第六章 山あり谷ありミニ四駆の十八年間
  • 終 章 一外国人の見たタミヤ模型

発行/文藝春秋(文春文庫) 著者/田宮俊作 定価/524円(税抜き)


★レビューと考察★


このサイトを作成するにあたり、ミニ四駆周辺の歴史と周辺事情を調べるのに参考とさせてもらった書籍の中の1冊です。考察を書くのに大切なことは、出所の不明なネット上の記述・噂や憶測に頼るのではなく、自分で調べた信頼のおける情報源を根拠とするよう心がけることだと思っています。これは田宮模型の社長が書かれたものなので、表からは見えない模型業界の苦労や歴史などがよく分かり、大変興味深い1冊です。

第六章 山あり谷ありミニ四駆の十八年間
ミニ四駆に関しては、まさにこの章に全てが注ぎ込まれていると言ってもいいでしょう。発行されたのが2000年なので、ちょうどミニ四駆の始まりからレツゴーへ至る道が詳しく述べられており、レツゴーファンなら胸を熱くするのではないかと思います。それと同時にミニ四駆ってこんなに歴史があったんだ、これならこれからもずっと何十年も続いていってくれなくちゃ、という気持ちになります。

面白い開発逸話もいっぱい。ミニ四駆のガイドローラーが、実は田宮社員ではなく、子どもの発案だったんだ、ということもこの本で知りました。子どもたちの想像力と創意工夫はアニメを超えていたんですね。また子どもたちからそういう「力」を引き出せる魅力を持っていた玩具だったんだということもよく分かります。個人的に面白いなあと思ったのは、レツゴーでもお馴染みの土屋博士の書かれた話が載っていること(本物の土屋博士は企画開発部の方だったんですね)。アニメの世界と現実の世界との絶妙な連帯感、それもミニ四駆ならではの魅力だったなあとあらためて感じます。

他の章も模型ファンには見逃せない貴重な話がいっぱい。ミニ四駆の背景にある、プラモデルの世界にも目を向けてみるのも視野が広がって楽しいのではないでしょうか。

本当に心からこれからもミニ四駆頑張れ!とエールを送りたくなる1冊です。


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