発行/小学館 価格/1200円(税抜き)
WGP編からはですね。とにかくこう、念力で走ってます(笑)。スタッフにも「カッコ良くなるんだったらミニ四駆の走りじゃなくてもいいから」って宣言しちゃいました。
~WGPガイド 99頁 加戸監督のインタビューより引用 ~
いつ見ても初めて出会った時と同じ烈や豪として描くことに注意してます。簡単には成長させないということです。
豪がどうして勝てるかっていうと、あいつはコンピューターで計算できないんです。こうやったからこうだっていうデータをとっても、次にはまた変わってしまう。(中略)そういう意味では烈のほうが読まれやすいかもしれない。何をするのかわからないというところが豪の凄味であり魅力ですね。
~WGPガイド 78頁 星山博之氏のインタビューより引用 ~
< 掲載内容 >
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今さら語るまでもない、ファン必携のアニメレツゴー公式ガイドブック。これだけは機会があれば必ずゲットしましょう。アニメファンにとっては全ての基本!であり、しかも唯一の公式本です。
内容はさすが!の充実ぶり。これ1冊あれば、他のはなくても大丈夫と言えるまでの完璧さです。欲を言えば、この本が出されたのが夏(映画に合わせたと思われる)だったため、79話以降のデータがないこと。WGP終了後に今までの全てを網羅した公式本が出てくれれば嬉しかったのだけど、それはならず…だったのが残念なところです。
どの頁を開いても「見所」ばかりなので、全部おすすめ!としか言いようがないくらいですが、しいてあげるなら、アニメ設定資料館でしょうか。高見明男氏の線と画力がこたえられません~。これだけでこの本の半分を占めているので、やはり一番の目玉なのではないかと思います。
ところで。この本には加戸監督とシリーズ構成の星山博之氏のインタビューが載っています。それに関する考察を以下に少し書いておきます。
【加戸監督のインタビュー】
貴重な裏話が聞けるインタビューなのですが、気になる点もいくつか。 最初に、WGPのテーマについて、「子どものいい加減さ」という表現をされているのですが、これは1998年アニメディア3月号付録で別の表現で言い直されている(最初の引用部分)ので、そういうことだったらしいです。しかし上に引用させてもらった念力(^^;は1998年アニメディア3月号付録でもそのまま。こちらは本心だったですか…。おかげでWGPでの烈くんの立場の解釈がなかなか難しかったです。監督が変わることにより、世界が微妙に変わることの難しさを感じたインタビューでした。
それはそれとして、面白いこぼれ話も。アニメオリジナルチームの作り方秘話とか。北欧チームがビクトリーズをモデルにしていることはここで語られています(詳細はこちら)。
【星山博之氏のインタビュー】
アニメスタッフの生の声というのは、なかなか聞けないものなので、大変貴重なインタビューです。キャラクターにとても注意をはらって作ってくれている様子が伺えて、スタッフも丁寧にレツゴーを作ってくれていたんだなあと感じます。
ところで意外だったのは、監督もなんですが、烈は動かすのに皆が苦労していたらしいこと。そうだったんですか? それと合わせて更に意外に感じられたのが、上の引用の一番下の部分です。私にはむしろ逆に感じられたので。
星山さんも言われてますが、豪は昔からいる少年漫画の主人公らしいキャラクター。故に、行動パターンも読みやすいんです。30分の番組なら○分後にこう来て、○分あたりでああなって、最後はやっぱりこうか、と。パターンが決まっているので、分かりやすいというか、安心して見られるというか。一方、全く先読みの出来なかったのが烈。これは特にSGJC編に顕著なんですが、冷静なキャラならこう来るだろうと予測して待ちかまえていたら、見事に外してくれる。それで何回やられたことか…(笑)。これは冷静なのに熱血、堅実なのに勝負師という、常に相反する2つの面を併せ持つ、烈ならではの二面性から来ているものだと思います。烈は実は想像以上に一筋縄ではいかないキャラクター(あ、だから難しいのか?)。コンピューターで計算できない・何をするのかわからないという言葉、そのまま烈にあげたいと思ってしまう私なのです。キャラの動きの方が制作者の思惑を越えてしまう…レツゴーの魅力はそんなところにもあるのではないかと思えます。
全体的に見ると、インタビューの内容も、キャラ紹介も豪から始まっているなど、編集方針は微妙に豪より。小さな男の子が見ることを前提にしている公式本ならではの特徴ですね。