第1回世界グランプリ優勝:TRFビクトリーズ

ファイナルステージ
第3ステージ テクニカル&高速複合コース(後半)
全員完走チーム TRFビクトリーズ
リタイアありのチーム NAアストロレンジャーズ
(リタイア:ジョー)
アイゼンヴォルフ
(リタイア:アドルフ)
ロッソストラーダ
(リタイア:リオーネ)

あらすじ

それぞれ思い思いに最後のレースを走るレーサーたち。どちらかというと、マシンよりキャラに重きをおいた演出の中、勝負は最終地点、富士ノ湖サーキットに持ち込まれる。ビクトリーズは全員完走。1人も欠けることなく、富士ノ湖サーキットに帰ってくる。真っ白なゴールの先に待っていたのはグランプリマシンになっても変わらぬミニ四駆の心──―。優勝おめでとう、ビクトリーズ。


御殿場市内に入った先頭グループ。前回ラストの会話がまた繰り返される。WGPで監督が一番言いたかったことだからだろう。豪とミハエルがカルロに言うのだが…

「カルロ!まともに走ってもやれるじゃねえか!泣いても笑ってもこれが最後だ!3人で楽しもうぜ!」「楽しむ?」「そう、勝つだけがレースじゃない、楽しむのもレースだよ。マシンを思い切り走らせてそれで勝てれば最高!」「そういうこと!」

「楽しむ…冗談じゃねえ、どいつもこいつもふぬけたこと抜かしやがって、勝負は勝つことが全てだ!潰せ!ディオスパーダ!」 豪とミハエル相手だとバトルレーサーに戻ってしまうカルロくん。君の相手はやはり烈でないと駄目ですか。バトルのあおりで自分がクラッシュしてしまうカルロ。でも実はそれで正しい。今まで自分が信じてきた価値観というものは人の説得で簡単に変わるものではない。あの勝利を自分なりに消化するには今しばらく時間が必要だろう。じっくり納得いくまで自分と向き合うがいい、カルロ。その上で出てきた答はきみを間違いのない道へと導いてくれるだろう。自分の道は自分で見つけなければならないのだ。

だからミハエル、きみも「支配」することで今まで生きて来たなら、それを簡単に捨ててはいけない。今きみがなすべきことは、もう1度自分の信念で烈と勝負することだ。納得いくまで。かつてカイが繰り返しリョウと勝負したように。その上で答を出すべきだと思うのだが…。ま、物語の進行上、しかたがないですか。

それにしても、なんとも淡々とした描写。マシンよりレーサーに重点がおかれている感じだ。レースものとしてのWGPは100話で終了していたのかも知れない。今まで登場したキャラたちが総出演。さながらエキシビションレース。エピローグといった感じですね。

カルロ、ディオスパーダの修理を始める。その横を抜けていくJ、エッジ、シュミット。きみたち、完全にカルロ無視してますわね…(カルロも相手にしてないけど^^;)。リョウを追い越してきた烈と藤吉が通りかかる。「カルロくん!」と声をかける烈。「お先にでゲス」と藤吉。修理のピッチを上げるカルロ。烈との勝負でカルロが得てしまったもの。その答えを探すためにもディオスパーダをここで止まらせるわけにはいかない。だから、カルロはリタイアはしない。必ず烈たちを追いかけてゴールまでたどり着く。ゴール目指して走り続けるのがレース。だからゾーラとジュリオに叫ぶ。「やめるわけにはいかねえー」 本物のミニ四レーサーに言葉はいらない。

烈と藤吉がいつの間にかコンビ化しているのが何となく嬉しい。このコンビ、富士ノ湖サーキット手前でJに追いついてリョウが追い上げてくるまで続くんですよね。途中のピットポイントで藤吉にやかんの水をかけてあげる烈。自分もかぶる。すごくいい顔してるね、烈ちゃん…。息もぴったりの感じの2人だ。思えば兄弟以外のビクトリーズの中で、1番烈のことを理解できているのが藤吉ではないだろうか? だから100話前半の主役は藤吉だったのだ。96話の藤吉の台詞「ああ、まったくしょうがないでゲスなあ」は豪への烈の口癖だった。烈と藤吉の間の距離が縮まっている感じである。それは実は92話にもよく表れている。あの時、藤吉にキツいことを言っていた烈。しかし逆に言えば、それは烈にとって藤吉が豪と同じくらい心を許せる存在になっていたことを示している。ああいう時だからこそ本音が出る。思い返せば52話(WGP1話)でアスレンに豪が負かされた時、烈が真っ先にふり返ったのは藤吉だった。55話、58話、59話、…、さりげなく目立たなく、しかし確実に2人の間では信頼と友情が育ってきている。多分、烈は藤吉を見つけたのだ。SGJC編で豪がJを見つけたのと同じように。だから私はWGPがあってよかったと思う。

CM明けと同時に後退し始めるマグナム。そこへ烈の声!「もうすぐピットだ!バッテリーとそれからタイヤも交換しろ。もう随分たれてきているはずだ」と豪に指示。リーダーの走りに戻ってますね、烈くん。豪をあおることも忘れない。ビクトリーズメンバー全員の順位もちゃんと把握。リタイアなし。全員でゴールまで行こう。ゴールへ辿り着くのがミニ四駆。ビクトリーズをゴールまで辿り着かせるのが烈の仕事。

Jと追いついたリョウと共に富士ノ湖サーキットへ入る烈と藤吉。少し前を行く豪に声をかけるメンバー。「抜くでゲス、豪くん!」「豪、マシンを信じろ」「豪くん、後は任せた」 烈ちゃん、回り込んで―――

「いけーっ、豪!」  ここで主題歌ーーー!!

烈の叫びが、豪をゴールへと運ぶ──。
この1年、烈はビクトリーズを走らせてきた。苦労もあったが、ビクトリーズも烈と共に成長してきた。1年前はあんなにバラバラだったビクトリーズが、今、世界一のチームになろうとしている──。

真っ白なゴールの向うに見える巷のミニ四駆レースの光景。ミニ四レーサーの原点──。ミニ四駆がグランプリマシンになっても、烈くんはソニックの中にこの光景を見続けてきたに違いない。

思えば誰よりも正しいミニ四レーサーであったのは烈くん、貴方だった。ミニ四駆本来の楽しさを一番よく知っていたのも貴方だった。本当に戦うべき相手はマシンでもレーサーでもなく、コースなのだと知っていたのも貴方だった。グランプリマシンが登場してもWGPがミニ四駆アニメでいられたのは貴方がいたからである。貴方のミニ四駆とソニックにかける思いがレツゴーの世界をささえていたのである。私にとっては貴方こそが世界そのものだった。

ふり返ってみれば、この話は烈から始まった。第1話で真っ先に画面に登場したのは烈だった。烈の走る楽しみは豪へ伝えられ、藤吉へ伝えられ、彼らを通して更に広く周りの人たちに伝えられていき、ミニ四駆がグランプリマシンになっても変わらずに生き続けた。だから今、物語もそこへ還るのだと…。

ビクトリーズ優勝おめでとう。烈くん、今こそ貴方は「ミニ四レーサー界のトップ」(83話鉄心の台詞)に立ったのだ―――。

私にとってこれは烈くんの物語だった。烈くんがミニ四駆全日本チャンピオンを経て世界一のミニ四駆チームのリーダーへと成長する2年間の軌跡。貴方の物語に出会えてよかったと思う。貴方でなければ味わえない感動をもらったと思う。ありがとう。

全キャラ中、もっとも熱く激しい情熱をその胸の内に秘めた男の子に愛をこめて。

私の心の伝説のミニ四レーサー、星馬烈。

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