冒頭のかけっこシーンは衝撃的でした。だって…烈くんのしていることがあまりにも我が家の兄貴にそっくりだったので。あまりのリアルさに思わず「この脚本書いたの誰ッ!?」と腰を浮かしてしまった。ま、まさかレツゴーのスタッフ、うちに隠しカメラつけてないよな!? 本気で家中を見渡してしまった私(笑)。そうです。これが兄貴です。兄とはこういうものです!
弟に対し、常に優位性を保ちたい。これが兄の本音です。烈くんのことは今までもリアルな子だとは感じていたけど、まさかここまで「本物の兄」だとは思わなかった。しかし今回の問題は単にマグナムに負けた、だけでは終らなかったこと…。もっと大変な事態が生じていたのです。
サイクロンマグナムは豪が自分でデザインして作ったマシン。Jに手伝ってもらったとは言え、大人の力を借りずに子どもだけの力で作り上げた。鉄心の言葉を借りるなら、豪は「独り立ち」したのです。これは次勝てば済むという問題ではない。ふと気がついたら、いつの間にか烈は名実共に「弟」においていかれ、1人取り残されてしまっていた。豪とJの後姿を見つめる烈くんが切ない。もはやこうなってしまったら烈も「独り立ち」しなければ豪に追いつけない…。だから自分も大人の力を借りずに新マシンを作ろうと決意した。だけどなかなか上手くいかない。自分のマシン(道)が見えてこない…。焦りが募る。そんな時「どこも壊れていないバンガードソニック」に気付き、迷いが生じてしまう…。で、その後が問題…。
な…なんとゆー壊れ方をしてくれるんだ、きみは…(汗)。
笑っていいのか、泣いていいのか…。そんなユニークな壊れ方をしてくれるやつも初めて見たぞ、私は…。この子の場合、追いつめられると必要以上に自信過剰になってしまうんですね。普通逆じゃないか? 夜、机の前で異様にハイになっていく烈が……。「ごぉのやつ、驚くぞ…くふ…くふふふ…」…おいおい…自分で自分のしていることが分からなくなっていく烈……
で、翌日土屋研究所にてあのへっぽこ騒ぎ(とても文章では書けません…)。烈くん、きみって子は本当に自分の心に不器用なんだから…。でも「どこも壊れていないバンガードソニック」に気付いたことは正しかったと思う。烈と豪は違うのだから、豪の真似をしても烈の自立には結びつかない気がするからだ。豪に「そんなのソニックじゃねえ!」と言われ、やっと我に返った烈。そして1つの答を見つけ出す。「進化」という答を。
魂が揺さぶられたような気がした。今回烈くんが見せてくれた、意外な一面。裏の烈。本音の烈。私を震わせてくれたのは、この裏の烈だった。土屋博士、鉄心、Jの目前で臆面もなく自らの負の面をさらけ出してくれた烈くんに私は感動すらしてしまった。この馬鹿をつけたくなるほどの正直さ。純粋さ。愛しさ。私にはどんなにかっこいい烈くんよりも数倍も尊く美しく見えた。もう私には烈くんがストーリーを語るためだけの記号には見えない。この回を機に烈くんは私の中で「人間」へと昇華したのである。